2009年08月26日

秋と距離感

 午後3時半ごろ、外を歩きながら友人と携帯電話で話していた。
 「なんか後ろでぎんぎん音がするよ」
 「あっ」
 言われて気づいた。オレのまわりでは蝉が鳴いている。
 「なに?」
 「つくつくぼうし、ほーしつくつく、ほーしつくつく、もういいかいもういいかいもういいかい、じー」
 「あはははは、ほーしつくつく、ほーしつくつく、もういいかいもういいかいもういいかい、じー」
 バカだなあ。あはははは。
 つくつくぼうしは、7月から発生し8月下旬に鳴きはじめる。他の蝉より少し遅れて声が聞こえてくる。暑いだの、夕立だのといっているうちに、確実に秋に近づいているのだ。 
 「過ごしやすくなってきましたね」とは夏から秋にかけての時候の挨拶で、今日も数人の人とそんな会話を交わしたし、テレビの天気予報でもそんな言葉を耳にした。
 過ごしやすくなると、じょじょに距離感が戻ってくるような気がする。暑いときは自分の皮膚とその周辺ぐらいにしか神経が通わない。もちろん遠くも見えているが、見えているだけで、自分とはあまり関係がない。世界は日向と日陰に二分される、ってのはちょっと大げさかもしれないが。涼しくなり始めると、少しずつ遠くのものも細やかに意識できるようになる。遠くのものと自分との関係を意識し始める。
 そんな秋の動向の象徴的な行事が十五夜かもしれない。
 携帯越しの蝉の声で、そんなことに気づいた。


posted by 黒川芳朱 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 身体感覚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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