夢を見た。
世界の光景が、シマウマの縞のようになってしまう。太い、不均衡な白黒の縞縞の世界。あれ、これは何だ。あれは何だ。ここはどこだ。あそこはどこだ。どこが境目だ。なぞ解きをしながら歩いていく。
夢は見ているときは強烈な体験なのに、言葉にしようとするとどんどん曖昧になる。記憶の中でしだいにぼやけていく。
そういえば、縞縞も縞縞自体ははっきりしているのに、全体としては曖昧なぼやけた世界だ。
シマウマのようだったのだから縦の縞だ。これはまちがいない。
歩いていくと、自分の体の一部つまり手や足も視野のなかに入ってきたのだろうか。よく覚えていない。入ってきたとしたら、まわりの世界と自分の手足は分離して見えたのだろうか。よく覚えていない。
物が動くと縞縞も動く。
おれたちの目は、視野のなかから特定の対象を選び出し、その対象だけに注視するはたらきがある。たとえば誰かと話しているときは、視野のなかのもの全体を均等に見ているのではなく、話している相手を視野から切り離すように浮かび上がらせている。縞縞の世界でそれがどうなっていたか、思い出せない。
縞縞のなかの縞縞のなかの縞縞のなかの縞縞のなかの…
【関連する記事】