いつも通る交差点、何かが変だ。朝通ったときは何も感じなかったのだが、夕方におなじ所を通ったらどことなくいつもと違う。いつもは目立たない街角が、ちょっとめかしこんだような。
立ち止まって、ぼおっと見た。
通り過ぎる人も車も、いつもと変わらない。今日は雨も降っていない。公園の木立も刈り込んだ様子はない。花が咲いたり、何か看板やモニュメントめいたものが立っているわけでもない。
子どもがチャリンコで走っている。おばあさんがヨタヨタ歩いている。信号が点滅を始めた。信号待ちの車はいない。大丈夫だおばあさんは渡り切った。
あっ、信号機が違う。新しくなっている。車両用の信号機も歩行者用の信号機も真新しく、光もクッキリしている。隣の交差点を見ると、信号機の灯体は黄色っぽい。あっちはまだ交換していないのかな。
そしてもうひとつ、ささやかな大変化があった。古い歩行者用の信号機は、緑ないしは赤の光の中に、歩いているあるいは止まっている人型が白抜きで描かれているのに、新しい信号機では、黒い四角の中に人型が緑ないしは赤で浮かび上がるようになっている。このほうが、人型がひきしまって見える。
街角がちょっと表情を変えたのは、人型のネガポジが反転していたからのようだ。
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