2009年09月01日

「爆笑問題のニッポンの教養」を見た

 NHK総合テレビで「爆笑問題のニッポンの教養」という番組を見た。今終わったところだ。
 今回は坂本龍一がゲストで『台本のない音楽会』というタイトルだった。楽譜ならともかく、音楽会に台本があることはどれぐらいあるのか知らないが、それほど珍しいことでもないだろう。せいぜい、カレーライスのない日本蕎麦屋ぐらいの話ではないだろうか。いや、そんなに多くないかも。
 爆笑問題の2人がスタジオに坂本龍一を訪ねる。そして、いろいろな音楽を聞きながら話をする。古学や民俗音楽や現代音楽ポップスなど坂本龍一のノートブックパソコンに入っている音楽や、爆笑問題の2人が持ってきたCDなどを聞く。爆笑問題の持ってきた曲に興味がないときは露骨に興味の無さそうな顔をする坂本龍一がおかしかった。
 こういう曲もあるんだけどといいながら、坂本龍一がジョン・ケージの『4分33秒』を流した。
 この曲は、3楽章からなり楽章ごとに休憩が入る。演奏者は楽器を構え、演奏する体勢をとるが何も演奏しない。聴衆は4分33秒の間、その場に聞こえる音に耳を傾ける。椅子のきしむ音、誰かの咳払い、などなど。初演は1952年にピアニストのデヴィッド・チューダーが行ったが、そのパフォーマンスは見事だったという。ピアノの前に座り、いままさにピアノから音が出るか、という緊張感を持続させ、場に潜在する音を浮かび上がらせる。
 ところが、この番組では坂本龍一がコンピュータをクリックしたけど何も音がしないだけで、何の緊張感もなかった。そして、4分33秒間の沈黙は守らず、坂本龍一がしゃべり始めた。たしかに4分33秒間も沈黙を放送したら放送事故になってしまう。ただ、番組の中ではなかなか効果的な場面だった。
 何も演奏しない音楽が、ライブでないと緊張感がないという逆説的なできごとだった。
posted by 黒川芳朱 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 体感音楽論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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