2009年10月01日

山崎克己紙刻繪展を見た

 創形美術学校で授業をした後、銀座のスパンアートギャラリへ山崎克己君の展覧会を見に行った。
 山崎くんは創形美術学校の友人だ。学年としては後輩に当たるのだが、年は同じ、すいどーばた美術学院という予備校でもいっしょだったはずだ。だが、彼と始めに出会ったのはまだ高校生のころ、どばたの前に通っていた石野泰之先生の画塾だった。
 そんなに昔からの知り合いなのに、微妙にすれ違っている。創形美術学校に入学した時期が違う。僕が卒業するころに彼が入学した。彼は浪人しながらがんばっていたのだ。その後もほとんど会うことなく何年もたった。そんな彼から、去年個展の案内状を貰い会場を訪れ、久しぶりに再開した。その展覧会のようすはこのブログにも書いたのを覚えている。
 そのときも書いたのだが、彼の絵は紙刻繪と名づけているように、紙に黒やバーミリオンの絵具を塗り、それを引っかいて描いていくという独特の描き方をしている。
 描いている対象は、われわれが子どもだった時代を思わせる街の風景の中のちょっと不思議な人々や動物の姿である。ガードに巨大なカタツムリが引っ付いていたり、畳屋さんの屋根の上に人力車を非違いているおっさんとそれを押している兎がいたり、洋式トイレのドアが開いていて擬人化された猫がすまして座っていたり、そんな風景だ。
 われわれが子どもだった時代というと、陳腐になってしまうのであんまりいいたくないのだが、要するに昭和30年代である。『ALLWAYS 三丁目の夕陽』である。だが、山崎くんが描く絵はそんな流行とは別に、明らかに彼のフィルターを通した風景であり、彼の中で時間をかけて醸成された絵である。正確に覚えていないのだが、タイトルに「錬肉術の」なんとかというのがあった。これは唐十郎だ。そういえば昭和20から30年代の風景と、ちょっとシュールな世界といえば唐十郎だが、山崎くんの絵はそれともまた違う。ただ、やはり何か共通のものを感じて、この言葉を使っているのだろう。
 アクリルガッッシュで紙に描いているなだが、ちょっと油絵やパステルのような質感がある。本人に聞くとやはりその辺にこだわっているらしい。油で描く気はないのか聞くと、油絵のマチエールは好きなのだが、時間がかかるのが肌に合わないらしい。このあたりが面白い。
 本人は、こういうどこにも納まらない絵を描いているのは創形にいったせいかもしれないな、と楽しそうに笑っていた。よくわかるなあ。

会期は10月3日まで、住所など詳細は以下を。
スパンアートギャラリー  http://www.span-art.co.jp/


posted by 黒川芳朱 at 18:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。