大企業について「日本で家族間の殺人が増えているのは、日本型経営を捨てて、人間を人間として扱わなくなったからだ」といったというのだ。傑作なのは経団連の御手洗会長に「そのことに責任を感じなさい」といい、御手洗会長が「私どもの責任ですか」と答えたという。
テレビでは識者だかコメンテーターだかが、大臣なんだからこういう発言で受けを狙わないでいただきたいといっていた。そうかね。
おれはまったく違った場面を思い出した。80年代だったろうか。おれも運営に関わっているライブスペースPLAN−Bに、役者の天竺五郎さんが住み着いていたことがある。おれは学生のころ、状況劇場の紅テントの中で、可笑しなテンポでまわりにちょっとした歪みを作り出す天竺さんの姿を、あんぐりと口をあけて見ていた。「なにをおっしゃる、のぐつぃさん」、その天竺五郎である。
で、その頃PLAN−Bのスケジュールを管理したり、カレンダーを作ったりしていた斎藤君(おととしまでPLAN−Bにいた斎藤君ではない)という青年がいた。彼は、天竺さんに心酔していた。ここからは、その斎藤君に聞いた話である。
あるときPLAN−Bに、当時発行されていた「ぴあ」ではない方の情報誌が取材に来た。某シティーロードって言うんだけどね。パフォーマンススペースについての取材だった。斎藤君が対応し答えている脇に天竺さんもいた。
編集者は相手が天竺さんと知り、「今の小劇場演劇はどうしてこうなっちゃったんでしょうね」といったような事を聞いたらしい。すると、天竺さんはその編集者を指差し、「お前が悪い!」といった。編集者が面くらい「わ、わたくしですか」と答えると、天竺さんはさらに畳み掛けるように「そうだ、お前だ!」といったという。
天竺さんはずっと前に亡くなっているし、斎藤君が今どこにいるわからないので、確認しようがない。事実確認ができないので、これは事実ではなく、PLAN−Bで行われた芝居だと思ってもらってもいい。
さて、このことについて何かコメントしようか。
いや、やめておこう。説明不足は百も承知だが、説明したくねえことだってあんのさ。
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