あれは確か日韓ワールドカップが開催された2002年だった。日本中が熱に浮かされ大騒ぎになった。あちこちににわかサッカーファンが出没し、おおむかしからサッカーファンだったかのような顔をした。芸能人もテレビで自分がいかにサッカーに詳しいか、知識やウンチクを披露した。
その頃専任講師をしていた某専門学校で、別の科の教員が今日はワールドカップの重要な試合があるので何時間目だかの授業を休講にして学生にテレビを見せたらどうかと提案した。さすがに、学校として休講にすることにはならなかったが、彼はワールドカップというのは特別だからということをさかんに強調していた。
何から何までサッカーで、大げさに言えばサッカーやに興味がない奴は非国民だといった雰囲気すらあった。
そんな時、ダウンタウンの2人は何かの番組で誰があんなもん観るかと言い放った。まっちゃんにいたっては、日本戦の放送の日に性感(マッサージ)に行ったらすいててよかったと言っていた。俺はこの2人に対する信頼を固くした。
サッカーの好き嫌いではない。ひとつの方向にみんなが一斉に向かおうとするとき平然と逆のことを言えるダウンタウンがあらためて好きになった。
自分が権力に迎合したり、長いものに巻かれそうになったとき、性感マッサージを受けているまっちゃんの顔を想像し、その顔に顔向けできない生き方だけはすまいと誓った。
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