2008年05月23日

『All Together Now』って何の歌

 今日は高校で映像制作の授業。
 いま取り組んでいる課題はビートルズの『オール トゥゲザー・ナウ』をモティーフに映像を作るというもの。当然、著作権の問題があるので、出来た作品は学外に発表せず授業の中で鑑賞するのみだ。
 曲を聞き、歌詞を読みそこからイメージを膨らませてゆく。専門学校の授業でも、僕はこの曲をよく使う。理由は曲のテンポがよく、歌詞が言葉遊びで、はっきりしたメッセージ、ストーリー、視覚的イメージがないからだ。これがたとえば『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド』のように強烈な視覚的イメージがある曲だと、それに引きずられてどことなく似たような作品が生まれてくる。ところが、この曲でいままで20本以上の作品を作らせたが、同じような作品は一本もない。
 歌詞は「1,2,3,4」「A,B,C,D」「black,white,greeb,red」と数字、文字、色を羅列したり、「ボンボンボン」という掛け声の合間に「sail the ship(船を出そう)」「skip the rope(なわ飛びしよう)」「I love you」などの言葉が、これといった脈絡もなくちりばめられている。そして「all together now(みんないっしょ)」というリフレインが何度も繰り返される。
 発表当時は当然「ラブ&ピース」という気分で聞いてはいたが、同時期の『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ』のような明快なメッセージソングとはちがい、遊び心に満ちた童謡のような楽しい曲だ。
 あるグループは、海賊船の上で海賊たちがパーティーを始めるというアニメーションを作り始めた。また、あるグループはいろいろな人の顔をリズミカルに登場させ、次第に人数が増えていくというコンセプトがまとまった。
 ところが、あるグループの目茶目茶明るい女の子が突然こう言った。
 「これ、引きこもりで友達いない子の歌じゃないの」

 いまどきの子は、と言う気はない。僕もいまどきのオヤジだから。
 しかし、この歌を聴いて今までそんなイメージは一度も持ったことがなかった。少なくとも内向きの歌ではなく外向きの歌として聞いていた。だが、考えてみればビートルズもそういった感情と無関係ではない。『オール・トゥゲザー・ナウ』が『エリナー・リグビー』の心のうちを歌った歌といった解釈も可能だ。
 歌は世につれ、世は歌につれというが、明るいポップスが時代によってクルクルと表情を変えて聞こえてくることだってある。
 それを教えてくれたあの生徒は、万華鏡の目の少女……のわけではない。
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posted by 黒川芳朱 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 体感音楽論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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