相倉久人さんは、音楽を中心にさまざまなジャンルの批評をされている評論家である。
PLAN−Bは、1982年に多くのアーティストのみならずアートやライブ表現に関心のある人が集まって設立したライブスペースだ。僕もその一員だった。PLAN−Bの設立には、踊り、音楽といった特定のジャンルのスペースではなく、ジャンルを横断しアートをより広い視野でとらえ直し、実践しようという目論見があった。そこで、さまざまなジャンルのアーティスト、批評家、学者の方々からも、アドバイザーとしてご意見を頂戴した。相倉久人さんもそのお一人である。
相倉さんにはいくつかのシンポジウムにもご参加いただいた。相倉さんの発言は、いつも刺激的だった。そこで、アドバイザーという枠を超えパフォーマーとしてのご登場をお願いをすることとなり、僕が担当することになった。
1983年の5月20日、『相倉久人パフォーマンス・ジョッキー 重力の復権』第1回目が開催された。以来ほぼ毎月、今日に至るまでこの企画は続いている。
僕自身、PLAN−Bでさまざまな企画を立案実行し、自分のパフォーマンスを行ってきたが、ここしばらくそういった活動はしていない。だが、相倉さんのパフォーマンスジョッキーはずっと担当し続けている。自分がパフォーマンスをせず、相倉さんのサポートだけをしているのは心苦しいのだが、毎月相倉さんのお話を聞けることは大変な刺激だ。
相倉さんは50年代からジャズを出発点に、演劇、映画、ロックの現場で活動し、思考してきた方なので運動感覚が強い。高みから批評するだけの評論家とはわけが違う。この、現場性と運動感覚に裏打ちされた視野の広さと思考の柔軟性は、『重力の復権』でも遺憾なく発揮されている。されているのだが、相倉さんの語り口があまりにもサラッとしているので、うっかりすると聞き流してしまいそうになる。ものすごく刺激的なことを、まるでどこそこのラーメンがうまかったという話のようにサラッと喋る。もっとも相倉さんは、ラーメンに限らず、食べ物の話はほとんどしない。あくまで譬えである。
さらには、いろいろのジャンルの話題が縦横無尽に飛び交う。きのうも、アニメ、源氏物語、バレエ、翻訳の問題、ハムレット、デヴィッド・ボウイ、ピーター・パン、映像と音楽などなど、トークのフリー・インプロヴィゼーション。
PLAN−Bが掲げたジャンルの横断性といったねらいを、まさに体現している。
さて、『相倉久人パフォーマンス・ジョッキー 重力の復権』、来月は6月25日水曜日、19時30分より、会場PLAN−Bの詳細は下記PLAN−Bのサイトからご覧ください。
http://www.i10x.com/planb/
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あれを贅沢な時間と言わずして、何と言おう。