さて、きのうに引き続きイベント探しだ。イベント探しに必須のものといえば『ぴあ』だ。
むかし(10年ほど前)は毎号買っていたのだが、ここのところあまり買っていなかった。最近は必要なイベントにしか行かず、なんとなく面白そうなものを探すということをしていなかったのだ。そもそも何曜日が発売日なのかもわからなかった。久しぶりに『ぴあ』を買ったことは8月29日に書いた。買ってみたら隔週木曜日刊だった。これはむかしと同じかな。
驚いたのは、『ぴあ』を買おうとしてずいぶんてこずったことだ。むかしは、駅の売店でもコンビにでも書店なら必ず手に入った。今は置いいているところが極端に少なくなっていた。駅の売店でまったく見かけなかった。コンビにもごくたまにしかおいていない。書店もよく探さないと見つからない。今日は鐘ヶ淵駅前のセブンイレブンで見掛け、船橋の旭屋書店で買った。
ここ数年で、情報の集め方が大きく変化した。ひとつはフリーペーパーの存在だ。求人やアルバイト情報誌も、一応書店に置かれているが、それ以上にフリーペーパーがあちこちに置かれている。飲食店をメインに様々なお店の情報を提供するフリーペーパーもある。ただ、イベント情報の総合的な情報のフリーペーパーは見たことがない。
そしてより大きいのは紙媒体からインターネットへの変化だ。こちらは、ピンポイントで情報を探すときには便利だ。イベントのタイトル、アーティスト名、などがわかっているときは一発で探せる。あるいは、あそこの美術館では今何をやっているのかなといったように開催場所から探すこともできる。
ただ、ネットではなんとなくふらふら情報の中を散歩して偶然に面白いものに出会うというのが難しい。ちょっと矛盾する言い方だが、ネットのほうが目的がはっきりしていないと、本当に迷子になってしまう可能性がある。
ネットでは、情報は上位のフォルダから下位のフォルダに分類されるように細分化される。実はこれは紙媒体でも同じなのだが、紙媒体の場合は読み手の自由度が高く、作り手の設定した分化の枠を軽々と超えてしまう。
紙媒体の1ページにはかなり多くの情報が盛り込まれており、一瞬にしてたくさんの情報が目に飛び込んでくる。ネットの場合、情報量が多くなればなるほど、ページを上下する動き、場合によっては左右にも移動する動きが必要となってくる。紙媒体なら新聞だってページ全体を一瞬にして眺めることができる。
また、ネットでページを変える感覚と、紙媒体でページをめくる感覚はまったく違う。紙媒体なら、指を挟んでおきページを行きつ戻りつすることも簡単だ。だが、ネットではページの移動が光通信でも一瞬間がある。前に戻ろうとするとまた時間がかかる。時間を食われる感覚はネットのほうが圧倒的に大きい。ユーザーとしての時間感覚は、紙媒体のほうがノンリニア(非直線)であり、ネットの方がリニア(直線)である。人間の持つ瞬間的な認知能力との親和性は紙媒体のほうがはるかに高い。
本は情報の塊を手の中で操作する。ネットは情報の海に中を泳いで行く。紙媒体のほうがページ全体を眺めることも、ページを超えた比較も簡単にでき、情報の海を俯瞰から眺め易いのだ。
ネットの場合、膨大な情報の中から狙ったものを検索で引っ張り出すことはできるが、検索するということは、曖昧なキーワードをいくつか並置するにしても探す対象がある程度決まっているので、まったくの偶然の出会いではない。
紙媒体で情報を俯瞰していると、思ってもみない情報と出会うことがある。検索キーワードといってこちらの予測を超えた情報に。
ネットで、デタラメなキーワードを入力して検索をかけ偶然に出てくる情報を見るという方法もあるが、ちょっと効率が悪いのでこれは完全に遊びと割り切ったほうがいいだろう。
情報の海を俯瞰で眺める楽しみには、やっぱり雑誌の『ぴあ』が欠かせない。